「火車」の感想

宮部みゆき(著)「火車」をよみました。

火車|Amazon

おもしろかったです。
はじめて読む、宮部作品。
人間の心情描写がうまいなと思いました。男女ともに。
そのため、すごく安定感のある小説に感じた。
直前に新人賞の作品を読んだから、より一層差を感じるのかもしれない。

休職中の刑事が、他人になり変わろうとする女性を捜索する話。
クレジットカードローンをきっかけとする多重債務などをテーマとして扱っている。
今では広く認知されていそうなテーマだが、
三十年ほど前の当時では先進的なテーマだったのかもしれない。

かなりページ数が多かった。
本のほとんどが、失踪した女性の関係者に事情聴取するために奔走する内容となっている。
なので、人によっては途中で飽き飽きしてしまうかもしれない。

本編に組み込まれた、細やかな装飾・伏線も巧みだった。
紫式部が仕えていた藤原彰子と、ライバルの定子。
→時代は違えど、没落する人とそうではない人との格差を匂わす演出
子どもたちがかわいがっていた「ボケ」という犬の埋葬。
→関根彰子が子供の頃に死んだ十姉妹ジュウシマツのお墓につながる

オチについても、別に不満はない。
一方で、人によっては、ラストで探していた女性にどういうふうに声をかけたのか、
そのシーンをちゃんと描写してほしかったという声もあるだろう。


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