「村上海賊の娘」の感想

和田 竜 (著)「村上海賊の娘」を読みました。
一五七六年の木津川合戦の史実に基づき、
毛利家・村上海賊 vs 織田方・泉州海賊眞鍋家の戦いを描く物語。

楽しめました。
読みすすめることで、当時の海戦に関する知識も得られるのは、良い点。
また、主人公の景が泉州に着くと美醜逆転世界モノのように急にモテる場面は、
景と一緒になって「泉州、いいところだな」と笑ったり喜んだり。

ただし、気になる点もいくつかありました。

歴史の注釈が本文に何度も挟まるので、読みやすさや物語としてのテンポが犠牲になりがちな点。
注釈欄のようなものがあれば物語と注釈を分離できるかと思いましたが、
それだと、雑誌と書籍とで再編集の手間が発生するので難しいのかもしれませんね。
わりとがっつり歴史注釈のある書籍でありながら数百万部売れたのは、
本屋大賞受賞作・タイトルの良さ・装丁の良さなどさまざまな要因に恵まれたからかも。
もしや、タイトルに「娘」と書いてある点が、歴史小説のわりに購入のハードルが下がっている要因では?と思ったり。「時をかける少女」みたいな感じで。

雑兵はすぐ戦死する割に、名のある将同士の戦いは延々と続く点。
もしかしたら、雑誌掲載時には気にならなかったのかもしれません。
ただし、書籍でまとめて読むと、かなり冗長に感じました。
「やったか!?→やってない」みたいな戦闘描写が、まるで週刊の少年漫画のようだなーと思いながら、読んでいました。

これだけの大作を、多くの歴史書を読んだ上で、創作するというのはすごいこと。
とても、真似のできない偉業だと感じました。

村上海賊の娘(一)(新潮文庫)|Amazon


スポンサーリンク