「小説家という職業」の感想

森博嗣 (著)「小説家という職業」を読みました。
著者自身の小説家になった経緯や、出版業界の現状や問題点と未来について書かれていました。
ちなみに、小説の書き方について書かれた本ではありません。

小説家という職業|Amazon

小説家という職業を、芸術家ではなく職人として、
あくまでビジネスとして著者が認識している様子が印象的でした。
「小説家になりたい」というだけの『夢』を見る人に、本書は『現実』を見せてくれます。
たしかに、「なりたい」ではなく「なって、こうしていきたい」という思いがないと、デビューできても第一作目で燃え尽きてしまいますよね。

2010年に出た少し古い本ではありますが、
出版業界の人的・構造的問題や業界の悪い慣例(印税の比率、締切を守らない、など)を概観した上で、
そこから、電子出版の将来性やネット上での著者自身でのマーケティング活動の重要性に言及している点は、先見の明があると思いました。
実際に現在では、著者の言及したとおりになっていると思います。
例えば、
電子出版では「Amazon Kindle ダイレクト・パブリッシング」などがありますし、
ネットには、「小説家になろう」や「カクヨム」などのネット小説の発表の場もあります。

小説家になるには、ただただ書くこと。
書き続けるうちに、道は開ける。
小説家になりたかったら、小説なんて読むな。
と、本書で語っている。

あとがき

カタカナ語の表記が、独特なんですね。
「マイナ」とか「ミステリィ」とか。
なんというか、理系の組織の中の人の文章っていう感じを受けました。

実は著者の作品を、まだ読んだことがありません。
「すべてがFになる」を読んでみたいなと思いました。


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