「竜とそばかすの姫」の感想

アニメ「竜とそばかすの姫」を見ました。
Amazonにて。

竜とそばかすの姫|Amazon

うーん、まあまあです。

まーた仮想空間で獣要素のあるアバターがどうこうする話だよーと思いながら視聴を始めました。
「劇場版デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!」以降、「サマーウォーズ」も本作も結局同じパターンだなと感じてしまう。
ただ、『おおかみこどもの雨と雪』・『バケモノの子』・『未来のミライ』などの別パターンを試したけど、最終的に回帰したようにも思いました。
同じパターンであることが悪いという意味でもないし、
脚本を他の人にしろよという意味でもないです。
正直そう感じていたときも以前はありましたが、
結局、本人がこういうのを描きたいのであれば、それでいいかなという気持ちでいます。

序盤は主要人物の声の違和感を感じましたが、中盤以降からは慣れました。

視聴中に感じた些細な問題として、
「U」と「竜」の呼称が音として似てしまっている点があると感じました。
《ユー》と言っているのか《リュー》と言っているのかが聞き取りづらい。
映画として、固有名詞の設計に失敗しているなと思いました。

問題ではないが気になったこととして、遠景ぎみのシーンが多すぎると感じました。
この影響で、キャラクターの表情が常に小さく感じました。
おそらく、しっかりとロケハンもしたから、高知の風景をしっかりと描きたかったのだろうと推察します。
表情と風景を同時に見せるばかりではなく、視聴者に観せたいのはどちらなのかを場面ごとにハッキリさせたほうがいいかなーと思いました。

途中からは、アニメ版「美女と野獣」っぽさをすごく感じました。
美女と野獣という登場人物の構図だけでなく、
竜の隠れ家に入るシーンでのキャラの表情や所作、それに隠れ家の内装にも、ディズニーっぽさを感じました。

話の構造的に仕方ない問題として、
竜側の実状の描写が少なく、女性主人公側だけを描きすぎていると感じました。
その結果、竜の隠れ家にてふたりが抱きしめ合うシーンでは「ふたりの思いが通じ合う」というよりも、
「単に女性主人公が優しいだけ」に感じられてしまった。
竜側の描写の少なさが、重要であるはずのふたりのシーンを空振りにしてしまった。

終盤で主人公が「アンベイル」したあとに、クジラに乗るとアバター姿に戻ったのはなぜだろう。
せっかく決意の「アンベイル」をしたはずなのに、すぐに戻るのは演出として良くないと感じました。
最後のクジラでの歌唱シーンは、オープニングとの対比で素の自分の姿で描くべきだったと思います。
もちろん、絵面的に華やかなのがアバター姿なのはわかるけれどね。

歌が重要である本作に、クジラがモチーフとして登場するのは良いと思いました。
なぜなら、クジラは遠くにいる自分の仲間に対して歌う動物だから。
OZの守り神としてクジラが出てくる「サマーウォーズ」よりも、
本作のほうがより適切にクジラをモチーフとして活用できていると感じました。

最後のほうは、アレで解決になったのだろうか。
「走って、会って、抱きしめて」という一連の流れは映画のラストっぽさはあるものの、何も解決していないような。


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