記事一覧 2024
  • 「体育館の殺人」の感想

    2024/07/19 in Blog

    「体育館の殺人」を読みました。 作者:青崎有吾 発行:2012年 受賞:第二十二回鮎川哲也賞 体育館の殺人|Amazon おもしろかったです。 高校の体育館で起きた殺人事件を、袴田柚乃と天才の裏染天馬が解決する話。 最新作の「地雷グリコ」がおもしろかったので、デビュー作を読んでみました。 天才を凡人視点から描く物語という意味では、本作と「地雷グリコ」には共通点がある。 裏染天馬のセリフで、アニメや漫画やゲームに関する用語が多数登場していた。 私はわかる方だが、かなり多くの人には伝わらないだろう。 …

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  • 「世界でいちばん透きとおった物語」の感想

    2024/07/03 in Blog

    「世界でいちばん透きとおった物語」を読みました。 作者:杉井光 発行:2023年 世界でいちばん透きとおった物語|Amazon おもしろかったです。 まったく予備知識なしで読みたい作品。 物語の真相がわかった瞬間、 本書への途方もない労力の積み重ねに、しみじみと驚嘆する。 その媒体ならではの仕掛けが物語を通して存在するという観点では「Ever17」(2002年)とも近い性質があるだろう。 序盤で、手術後に世界の見え方が他人と異なってしまった主人公だと知らされた時には、もしかして「沙耶の唄」的な物 …

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  • 「巴里マカロンの謎」の感想

    2024/06/30 in Blog

    「巴里マカロンの謎」を読みました。 巴里マカロンの謎|Amazon おもしろかったです。 「春期」と「夏期」の間、小鳩くんと小佐内さんが高校一年生の時の話。 小鳩くんの知恵働き・小佐内さんの復讐・おいしいスイーツと謎が揃った、まさに<小市民>シリーズといった短編集。 復讐については、直接的なものはなかったけれど、随所で暗示されていた。 新キャラの古城こぎ秋桜こすもすの物語も、最後は綺麗にまとまってよかったと思う。 もしかしたら強烈な縁切りエンドを迎えるのではと、少しドキドキしていた。 <小市民> …

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  • 「秋期限定栗きんとん事件」の感想

    2024/06/26 in Blog

    「秋期限定栗きんとん事件」を読みました。 秋期限定栗きんとん事件〈上〉|Amazon 秋期限定栗きんとん事件〈下〉|Amazon 序盤中盤は、うーんまあまあ。 終盤、小鳩くんと小佐内さんとが対峙するところから栗きんとんと食べる幕引きまでは、すごくおもしろかった。 序盤中盤の評価が低いのは、瓜野の視点で物語が長々と進行するから。 終盤のカタルシスのために、こういう構造になるのも物語としては仕方がない。 しかし、見栄っ張りで粗暴でいけ好かない瓜野のことなんて、読者としてはたいして興味がない。 あまつ …

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  • 「夏期限定トロピカルパフェ事件」の感想

    2024/06/20 in Blog

    「夏期限定トロピカルパフェ事件」を読みました。 夏期限定トロピカルパフェ事件|Amazon まあまあおもしろかったです。 前作「春期限定いちごタルト事件」から1年後、高校二年生の夏の常悟朗と小佐内さんの話。 前作に比べて、作中で扱う犯罪の凶悪度が上がっている点がやや気になる。 小佐内さんの罪状ランクアップ作戦によって誘拐・略取が発生し、さらには直接的な暴力沙汰になっている。 個人的には、前作ような「おいしいココアの作り方」や今作の「シャルロットだけはぼくのもの」みたいな平和な謎解き路線とのギャッ …

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  • 「春期限定いちごタルト事件」の感想

    2024/06/18 in Blog

    「春期限定いちごタルト事件」を読みました。 作者:米澤穂信 発行:2004年 春期限定いちごタルト事件|Amazon おもしろかったです。 恋愛関係にも依存関係にもないが互助関係にある高校一年生の小鳩君と小佐内さんによる青春学園ミステリー。 収録作品 プロローグ 羊の着ぐるみ For your eyes only おいしいココアの作り方 はらふくるるわざ 狐狼の心 エピローグ 2024年7月にアニメ化されるということで、読もうと思った。 ライトノベルらしい軽快な文体に見える一方で、 漢字や慣用句 …

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  • 「わたしを離さないで」の感想

    2024/06/16 in Blog

    「わたしを離さないで」を読みました。 原題:Never Let Me Go 作者:カズオ・イシグロ 発行:2005年(イギリス) わたしを離さないで|Amazon おもしろかったです。 というよりも興味深い作品だった。 小説というより文学であり、やがて古典になる風格がある。 海外の翻訳本だからより一層そう感じるのかもしれない。単に海外かぶれなのかも。 物語の展開も普段見慣れているものとは違って、なかなか予想できなかった。 少年少女の心の揺れ動きに焦点を当てて、淡々と思い出話が進んでいく。 あとが …

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  • 「パッチギ!」の感想

    2024/06/13 in Blog

    映画「パッチギ!」を観ました。 監督:井筒和幸 公開:2005年 時間:119分 出演:塩谷瞬、沢尻エリカ パッチギ!|Amazon めっちゃおもしろかったです。 名作だと思います。 京都の男子高校生と朝鮮高校の在日朝鮮人の「ロミオとジュリエット」や「ウエスト・サイド・ストーリー」のような作品。 前々から名前は知っていたが「バキ童チャンネル」の影響で観たいと思っていました。 セリフ回しがエッジが効いていた。 しかも京都弁や朝鮮語、それに序盤には長崎弁まで飛び交う。 やっぱ長崎カステラの勝ちばい …

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  • 映画「僕が愛したすべての君へ」と「君を愛したひとりの僕へ」の感想

    2024/06/13 in Blog

    映画「僕が愛したすべての君へ」と「君を愛したひとりの僕へ」を観ました。 公開:2022年 僕が愛したすべての君へ|Amazon 君を愛したひとりの僕へ|Amazon まあまあでした。 原作の本を読んでいたはずだが、細かいところはかなり忘れていた。 各作品の終盤、お互いのシーンの使いまわしをしているのが気になった。 片方の作品だけ観ても分かるようにしているのだと思うが、作品の上映時間を水増ししているようにも思えた。 関連リンク 「僕が愛したすべての君へ」と「君を愛したひとりの僕へ」の感 …

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  • 「私の頭の中の消しゴム」の感想

    2024/06/11 in Blog

    映画「私の頭の中の消しゴム」を観ました。 公開:2004年(韓国) 時間:117分 原作:日本のテレビドラマ『Pure Soul〜君が僕を忘れても〜』(2001年) 私の頭の中の消しゴム|Amazon うーん、という感じ。 記憶喪失ものとしては「アルジャーノンに花束を」や「智代アフター」などの他の作品の方がいい出来だと思う。 主演女優のソン・イェジンが登場したとき「『愛の不時着』の人だ」と思った。 わたし向けの映画では無かった。 イケメンを見てキュンキュンできる成年女性向けの映画という印象。 イ …

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