「超新星紀元」の感想

劉慈欣(著)「超新星紀元」を読みました。

超新星紀元|Amazon

まあまあ、おもしろかったです。
ただし、オススメ度は三体シリーズの方が高い。
なので、本書を読む前に、先に三体だけ読めばいいと思う。

初の長編作品ということらしい。(厳密には未刊行の他作品があるらしい)
初期作品の時点でこのスケール感やダイナミックさと含蓄があれば、
そりゃ三体シリーズもでき上がるよね。

読んでいて、著者は後半の戦争ゲームを描きたかったのだろうと感じた。
あとがきに、夢でそういうシーンを見て執筆に至った、と書いてあり、やっぱりなと思った。

劉慈欣の小説には、蟻と鯨がよく出てくる。
本書では、南極で日本軍が捕鯨するシーンが出てきた。
著者にとって、日本といえば捕鯨のイメージなのだろうか。

ひとつ残念な点について。
本書の前半では、SF的思考実験感があった。
たとえば、大学習の時に大人たちが選抜した子供たちに「中国が一日で消費する化学調味料と塩」を見せるシーンとか印象的でいいと思った。
しかし本書の後半では、そのSF的思考実験感は希薄だ。
とくにロシアや日本やベトナムなどの軍隊を描くシーンは、二十世紀のそれぞれの大人軍隊のパロディで済ましてしまっている。
具体的には、ベトナム軍が南極でゲリラ戦ゲームを提案する場面で、流石に無理があると感じた。氷が溶けた南極では、隠れる場所は少ないだろうに。
新時代の子供軍隊を描くために執筆を始めたのはずなに、
中国軍以外を旧時代の大人軍隊のパロディで済ますのは、かなりブレてると思う。
一方で、中国軍の描写では、SF的思考実験はできていると感じた。
というのも、中国側には5人の特殊な監察官がいて、有事の際に核ミサイルの発射装置を提供してくれる描写があるからだ。新時代の子供たちのために、大人たちがそれを準備する描写もある。
他の国々に対しても、超新星紀元の子供軍隊をSF的思考実験的に描いて欲しかった。

巻末で子供たちが主役の物語として、「十五少年漂流記」や「蝿の王」や「お召し」などが挙げられていた。
どれも読んだことがない。
読んでみたい。


あらすじ。
超新星爆発のため大人が全滅し、子供たちだけになった地球を描く。
大人がいなくなり、子供たちは放蕩の限りを尽くす。
やがて、アメリカ大統領が発案した戦争ゲームを温暖化した南極で行う。
その後、新しいアメリカ大統領の発案した米中領土交換ゲームを行う。


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