「ここはすべての夜明けまえ」の感想
「ここはすべての夜明けまえ」を読みました。
作者:間宮改衣
発行:2024年
受賞:第11回ハヤカワSFコンテスト特別賞
まあまあでした。
老いない機械の身体を手に入れた女性が、家族史を語る物語。
前半はほとんどがひらがなで「アルジャーノンに花束を」を彷彿とさせる。
後半の機械の女性と生身の男性との恋愛や性交渉が出来ないなどの話はCLAMPの漫画「ちょびっツ」(2000年〜2002年)を連想させる。
けれど、作者は1992年大分出身ということで「ちょびっツ」世代ではないだろう、おそらく。
現代の多くの人は「葬送のフリーレン」を連想しそう。長命種と短命種の恋愛という見方で。
SNSとか読書メーターを軽く調べても、本作と語る時に「ちょびっツ」を引き合いに出しているひと居ない。
わたしが年を取ったのね。
「ほとんどがひらがな」という特徴的な文体や、
後半はだいぶ飛躍するもののそれなりにせつなくてエモい感じのエンディングである点などを含め、
話題になったり、一部の人たちに受けたりしそうだなとは思った。
もしかしたら若い女性層にはささるかもしれない。
途中で将棋電王戦の話がでてきて、びっくり。
永瀬拓矢(軍曹)の名前が出てくるとは。
この電王戦の話がでてくる部分で、「ひらがな」ばかりという体裁が崩れて「漢字」多めになったのは、まあ仕方ないか。
そうしないと伝わりにくいだろうし。
作者くらいの世代にとってのAIといえばのエピソードがあの「角の不成」なのかも。
これがデビュー作。第11回ハヤカワSFコンテスト特別賞。
しかも、どうやら話題になっているらしい。星野源がオススメしたりね。
ただ、次作もまたこういうテイストだとさすがに食傷になってしまう。
このままの路線で行くのか。
それとも、そこを脱却して「こういうのも出せますよ」という作品が出せるかどうか。
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