記事一覧 2021
  • 「フェルマーの最終定理」の感想

    2021/11/11 in Blog

    「フェルマーの最終定理」を読みました。 フェルマーの最終定理|Amazon おもしろかったです。 フェルマーの最終定理をめぐる、300年にわたる数学者たちの人生ドラマの話。 難解なことばをつかわずに、天才数学者たちがどのようにこのフェルマーの最終定理に挑んだのかがわかりやすく書かれている。 その点が、とても素晴らしい。 また、翻訳も優れているのだろう、とてもわかりやすい。 個人的には、 寄生虫のライフサイクルからずれるために、セミのライフサイクルの年数が大きめの素数である17年になる部分が興味深 …

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  • 「これは王国のかぎ」の感想

    2021/10/25 in Blog

    荻原 規子 (著)「これは王国のかぎ」を読みました。 これは王国のかぎ|Amazon おもしろかったです。 読もうと思ったきっかけについて。 そもそも「これは王国のかぎ」のお話自体は、2000年に放送された「青春アドベンチャー」というラジオ番組で聞いたことがありました。 ただし、今では断片的にしか覚えていないので、今回ちゃんと読み直そうと思いました。 こうやって振り返ってみると、そのきっかけとなったラジオ放送もう20年以上も前のことなんですね…。 内容について。 最初のうちは主人公の自称が「あた …

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  • 「ハーモニー」の感想

    2021/10/20 in Blog

    伊藤 計劃 (著)「ハーモニー」を読みました。 ハーモニー|Amazon おもしろかったです。 「ハーモニー」では、「虐殺器官」の後の世界を描いています。 そのため、テーマとして「テロとの戦い」は引き続き存在すると思います。 そして、そこに「病」が加わっている印象を受けました。 「虐殺器官」の巻末の解説によると、著者はガンの治療のために入院し、病室で「ハーモニー」と書き始めたらしい。 きっとその影響はあるのだろう。 文字について。 終盤に語られる御冷ミァハのことばとして、以下のものがあります。 …

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  • 「虐殺器官」の感想

    2021/10/16 in Blog

    伊藤 計劃 (著)「虐殺器官」を読みました。 虐殺器官|Amazon とてもおもしろかったです。 第一印象は、かなり「メタルギアソリッド」っぽい。 主人公たちが環境追従迷彩の服や人工筋肉で覆われた侵入ポッドなどの高性能な戦闘装備を用いているため、短編の「The Indifference Engine」を読んだときよりも、よりメタルギア感があったのだと思う。 「伊藤計劃以後」という言葉を、なんとなく目にしたことはあります。 本書の「虐殺器官」を読んでみて、確かになーと思いました。 なぜなら、それま …

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  • 「イマジネーションの戦争」の感想

    2021/10/05 in Blog

    「イマジネーションの戦争」を読みました。 もともと「おれはミサイル」を読みたかったのだが、その手段のひとつがこの本というわけ。ただし、分厚い…。 コレクション 戦争×文学 5 イマジネーションの戦争|Amazon 収録作品 桃太郎(芥川龍之介) 鉄砲屋(安部公房) 通いの軍隊(筒井康隆) The Indifference Engine(伊藤計劃) 既知との遭遇(モブノリオ) 烏の北斗七星(宮沢賢治) 春の軍隊(小松左京) おれはミサイル(秋山瑞人) 鼓笛隊の襲来(三崎亜記) スズメバチの戦闘機( …

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  • 「日本SFの臨界点[恋愛篇] 死んだ恋人からの手紙」の感想

    2021/10/04 in Blog

    伴名 練 (編集)「日本SFの臨界点[恋愛篇] 死んだ恋人からの手紙」を読みました。 本書は、SFと恋愛要素を含む短編集のアンソロジー。全9作品。巻末に、SF入門ガイドも併録。 一部、家族愛をテーマとするものも含む。 日本SFの臨界点[恋愛篇] 死んだ恋人からの手紙|Amazon もしかしたら、[恋愛篇]と書いてあるものの、同時期に発売された[怪奇篇]に当てはまらないものが収録されているくらいの認識でいいかもしれない。 よい作品が収録されているので、その点で評価が別れてほしくはない、という思いは …

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  • 「2010年代SF傑作選2」の感想

    2021/09/30 in Blog

    大森 望 (編集),伴名 練 (編集)「2010年代SF傑作選2」を読みました。 2010年代SF傑作選2|Amazon 「2010年代SF傑作選」は 全2巻。 2巻目は、新人勢を収録しているとのこと。 収録作品 小川 哲「バック・イン・ザ・デイズ」 宮内悠介「スペース金融道」 三方行成「流れよわが涙、と孔明は言った」 酉島伝法「環刑錮」 高山羽根子「うどん キツネつきの」 柴田勝家「雲南省スー族におけるVR技術の使用例」 藤井太洋「従卒トム」 野崎まど「第五の地平」 倉田タカシ「トーキョーを食 …

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  • 「2010年代SF傑作選1」の感想

    2021/09/29 in Blog

    大森 望 (編集),伴名 練 (編集)「2010年代SF傑作選1」を読みました。 2010年代SF傑作選1|Amazon 「2010年代SF傑作選」は、全2巻。 この1巻目にはベテラン勢を、2巻目には新人勢を収録しているとのこと。 わたしはSF初心者なので、読んだことがある作家さんは長谷敏司さんだけでした。 デビュー作に『戦略拠点32098 楽園』との記載があり、あーそういえば、と思い出せました。 収録一覧 小川一水「アリスマ王の愛した魔物」 上田早夕里「滑車の地」 田中啓文「怪獣惑星キンゴジ」 …

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  • 「岩田さん 岩田聡はこんなことを話していた。」の感想

    2021/09/26 in Blog

    ほぼ日刊イトイ新聞 (編集)「岩田さん 岩田聡はこんなことを話していた。」を読みました。 以前から読みたいと思っていて、ようやく読むことができました。 岩田さん 岩田聡はこんなことを話していた。|Amazon 内容としては、 岩田聡さんの経歴(HAL研究所、任天堂) 岩田さんの経営や開発に関する考え 岩田さんの個性 宮本茂さんと糸井重里さんのインタビュー などが、一冊にまとめられています。 岩田さんの人柄の良さや頭の良さが伝わってきました。 自分の考え方をきちんと言語化できていて、きっと優秀なプ …

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  • 「小説家という職業」の感想

    2021/09/22 in Blog

    森博嗣 (著)「小説家という職業」を読みました。 著者自身の小説家になった経緯や、出版業界の現状や問題点と未来について書かれていました。 ちなみに、小説の書き方について書かれた本ではありません。 小説家という職業|Amazon 小説家という職業を、芸術家ではなく職人として、 あくまでビジネスとして著者が認識している様子が印象的でした。 「小説家になりたい」というだけの『夢』を見る人に、本書は『現実』を見せてくれます。 たしかに、「なりたい」ではなく「なって、こうしていきたい」という思いがないと、 …

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