「月は無慈悲な夜の女王」の感想
「月は無慈悲な夜の女王」を読みました。
原題:The Moon Is a Harsh Mistress
著者:ロバート・A・ハインライン
1967年ヒューゴー賞長編小説部門受賞
まあまあ、おもしろかったです。
流刑地である月の住民が地球に独立戦争を仕掛ける話。
戦争の理由は、地球への輸出によって起きる将来的な食料問題のため。
以下の点が、進歩的だったのかなと感じた。
月のレジスタンス側の意思決定に、人工知能が大きく関わっている点。
月の地球に対する攻撃手段として、位置エネルギーを利用した高精度な投石である点。
生成AIが身近になった今こそ読むべき作品だと思う。
本書の投石攻撃+独立戦争という組み合わせが、後の作品であるガンダムに影響を与えてるらしい。「コロニー落とし」がそう。
主人公は最初はその気ではないのに、いつの間にかヌルッと活動家になった点は、ちょっと気になった。
それに加えて、家族もみんなヌルッと活動家になる。
月の住民は皆、長官に対して何かしら思うところがあるということなのだろう。
それとも単純に読み飛ばしたのか。
月世界の婚姻の形式はちょっとよくわからなかった。
部族結婚、家系型結婚の違いがわかりにくかった。
一婦多夫が主流なのはわかった。
文章がかなり読みづらい。
受動態の文章、二重否定の文章にあふれている。
これは原文の影響なのか、翻訳の影響なのか、それとも時代のせいなのかはわからない。
それに、中盤終盤にある長すぎる政治パートにやはり興味が持てない。
おじさんたちが室内で、長台詞をあーだこーだ言うのを見るのは、面白くは感じない。
主人公たちが月から地球へ移動するので、舞台が切り替わった点は良かった。
と言うことで、読むのにとても時間がかかってしまった。
Wikipediaであらすじを把握しながら読むとスムーズだと思う。
色々不満もあるけれど、これでベストな形だと思う。
革命・独立戦争の話なので、ある程度長い政治パートがあるのはしょうがないとは思う。
ハインラインの著作を読むのは、これで二冊目か。
「夏への扉」に続いて、本書も主人公はエンジニアだった。
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