「9人の翻訳家 囚われたベストセラー」の感想

「9人の翻訳家 囚われたベストセラー」を観ました。
原題:Les traducteurs
公開:2020年(フランス)
上映時間:105分

まあまあおもしろかったです。

世界的に人気なミステリーの完結編を各国向けに翻訳するために、9人の翻訳家がフランスの洋館に集められる。
しかし、ミステリーの内容がネットに公開されはじめ、犯人から要求が届く話。

よい点。

序盤のテンポの良さが良い。
具体的には、それぞれの翻訳家が洋館に集結して、すぐ一旦2ヶ月後にシーンが飛ぶ。
なにかおもしろいことが始まるのかな、という期待感があった。

どんでん返しが多段になっている点がよい。
「実は盗んでいない」とか「実は事前に」とか「実は正体が」とか。
ネタばらしの前に、気づけるものもあったし、気付けないものもあった。
ストーリーはよく出来ていると思う。

気になった点。

登場人物が多くて、誰が誰だか分からない。
ミステリーとかを見るたびに、思ってしまう。

中盤の地下生活のシーンがだいぶ眠かった。
みんな結構楽しんでいる様子だった。 もっとゴリゴリに監禁されててもよかった。
ただ、退屈にみえるシーンも、2回目見ると別の見え方になるのだろうと思う。

登場人物たちが、何度も劇中ミステリーの引用をすることが鼻についた。
2回くらいだったらいいが、結構多かった。
いや、知らんがなってなっちゃう。

主人公に対して好感が持ちづらかった。
物語のどんでん返しの意外性に関わるため、好感度を稼ぐことが出来ないのだろう。
つまり、構造的な制約による欠点であり、仕方ない。

時系列がわかりにくい。
洋館と警察署?の間で、シーンが切り替わるのはまだ分かる。
しかし、ジョルジュの書店のシーンがどの時系列なのか分かりにくい。

鞄のダイヤル式のロックが、簡単に突破されすぎ。
ある程度のパターンがあると劇中で言われていたが、時間制限のある一発勝負で開けるのは無理があるだろう。
事前に調査済みであるという描写を挿入する方が良いと思った。