「鯉姫婚姻譚」の感想
藍銅ツバメ(著)「鯉姫婚姻譚」を読みました。
日本ファンタジーノベル大賞2021大賞受賞作品。
著者はゲンロン大森望SF創作講座の第4期受講生。
まあ、おもしろかったです。
なんていうかこう、若いのに上手いよねって感じ。
ただし、読み始める前のイメージと実際の中身はかなり違うものでした。
当初は主人公と鯉姫との婚姻の話を想定していたが、
実際は主人公が庭の人魚に「人と人でないものとの婚姻譚」をせがまれる話の連作。
そのため、長編小説という印象はかなり薄い。
どちらかというと民話集みたいな感じ。
作中作の出来は、いい方だと思いました。
タイトルの「鯉姫婚姻譚」という文字や表紙イラストを見て、
成年コミックのみぞね(著)「異邦ノ乙女」のような異類婚姻譚系の作品みたいに、夫婦が種族の壁を越えてイチャイチャする話を勝手に連想していたのですが、
だいぶ違うので注意が必要。
日本ファンタジーノベル大賞2021大賞受賞作品ということらしいが、
単純な人魚との婚姻の話だけだと規定のページ数に満たないから、
このような異類婚姻御伽話集にしたのではないかと、少しだけ思いました。
(それが悪いという意味ではない)
そういう応募テクニックなのかもしれない。
主人公が語る「人と人でないものとの婚姻譚」が、かなり剣呑剣呑。
ほとんどの話で、夫婦のどちらかが命を落としてしまう。
まるで、この作品の結末を暗示しているように。繰り返し、繰り返し。
そのように読み手に準備をさせているので、本作の結末は受け入れられるのだろう。ある程度は。
まったくもって個人的なことですが、最後の方はポケモンのコイキングと進化先のギャラドスを連想しました。
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