「永遠の森 博物館惑星」の感想
菅 浩江(著)「永遠の森 博物館惑星」をよみました。
地球と月の重力均衡点に浮かぶ小惑星の巨大博物館<アフロディーテ>を舞台とした学芸員の話。
第54回日本推理作家協会賞長編および連作短編集部門
と第32回星雲賞日本長編部門
を受賞。
おもしろかったです。
博物館の学芸員を主人公とした、やさしい雰囲気のお仕事ものSF作品。
ミステリや推理ものっぽさもある。
短編の連作だが、この一巻で「綺麗」に終わる構成になっている。
とても丁寧に作り込まれた見事な作品。
たいしたことではないが、いくつか気になる点もあった。
文章の表現がやや格調高いというか古風と感じた点。
見慣れない熟語やひらがなで普段目にしている言葉が漢字で本書に書かれており、
読んでいて自分の学の無さを突きつけられた。
たとえば、剽軽なんて漢字はじめて見ました。
登場人物や女神の名前を冠した部署の説明ページを、本の最初に用意してほしかった。
多くの人物や部署名が登場するので、
誰がどういう人なのかいつでもわかるようになっているとよいとおもった。
本書のタイトルの表記順がわかりずらい。
現時点で、博物館惑星が三冊あるが、検索性やシリーズとしてのわかりやすさが低いと感じる。
- 「永遠の森 博物館惑星」
- 「不見【みず】の月 博物館惑星Ⅱ」
- 「歓喜の歌 博物館惑星Ⅲ」
三体シリーズとかと同じように「博物館惑星 永遠の森」という順で表記してほしかった。
あと、強いて言えば、各章のオチがついたときにはっきりとした解説がない点。
なので、オチについてはちゃんとストーリーを理解しないとわかりにくい。もしくは、行間を読まないといけない。
読者の読解力が求められる。
収録作品
- 天上の調べを聞きうる者
- この子はだあれ
- 夏衣の雪
- 享ける形の手
- 抱擁
- 永遠の森
- 嘘つきな人魚
- きらきら星
- ラヴ・ソング
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