「セブン」の感想

「セブン」を観ました。
公開:1995年(アメリカ)
上映時間:127分
監督:デヴィッド・フィンチャー
脚本:アンドリュー・ケヴィン・ウォーカー

うーん、まあまあでした。
後味はよくない。

退職間近の刑事サマセットと新人刑事のミルズが、七つの大罪になぞらえた連続殺人事件を追う。

「嫉妬」の罪人は、てっきり冒頭の殺人事件の被害者だと思ってしまっていた。

物語が加速するのに、中盤までかかった。

「羊たちの沈黙」も結構似た雰囲気だと思う。
個人的には本作よりもそちらのほうが出来がいいと思うし好き。
確かに、本作のラストシーンは印象的だ。
ラストシーンで「嫉妬」と「憤怒」の罪人の結末を劇的に魅せたことに、惹かれる人もいるだろう。
でも、実際は脚本家が観客に対して犯人の正体や動機を説明できなかっただけだと思う。
だから、犯人を死亡させるように、ラストシーンを構築したように見える。
つまり、犯人を殺したかったのは、妻を殺されたミルズじゃなくて、当時二十代の若き脚本家だ。
そう思った。

犯人特定に至るまでの流れやプロセスも、知的快感が無かった。
「犯人は実はあのとき会った記者だった」とすることで、それを与えようという脚本的意図は感じた。
でも、主人公たちが物語を動かしたというより、ただ図書の貸出情報からそれらしい人物をFBIに特定してもらっただけで犯人にたどり着いた。
それだと主人公たちすごいとは感じない。
脚本家もそれがわかっているから、主人公たちにテコ入れするために、「ミルズが先輩刑事に指定された図書を読む」みたいな努力しているシーンを物語に入れたんだと思う。

作中では、腐敗した世の中に対する思いみたいなものを描いていた。
だけど、本当は自分の境遇に対する満たされない思いが、作品に投影されているように感じた。
調べてみると、タワーレコードの従業員として働きながら、本作の脚本を書いたらしい。
映画で一発当てて、売れっ子になりたかったんだろうと思う。