「善き人のためのソナタ」の感想
「善き人のためのソナタ」を観ました。
公開:2006年(ドイツ)
上映時間:137分
おもしろかったです。
1984年の東ドイツ。国家保安省(シュタージ)のヴィースラー大尉が、劇作家ドライマンと同棲相手の女優の盗聴や監視をするにつれて、彼らに共鳴していく話。
終盤、女優の最期の交通事故のシーンは、映像表現的にもう少しだけ工夫できそうな気がした。
「地面師」の交通事故のシーンのほうが、同じような画角でありながら、映像表現的に優れているように感じた。
最終盤はきれいにまとめていた。
てっきり、ヴィースラーが左遷された後、ベルリンの壁が崩壊して終わりかと思っていました。
しかし、そこから劇作家ドライマンが資料館でかつての秘密警察の資料を閲覧し、赤いインクリボンの痕跡からヴィースラーの存在にたどり着く。
2年後、ドライマンが執筆した「善き人のためのソナタ」というタイトルの書籍を、ヴィースラーが書店で見つける。
その本の中に「HGW XX7に捧ぐ」という一文を目にする。
書店員に「ギフト包装はしますか?」と問われて、「いや、私のための本だ」と返す。
という終幕までの一連の流れは、美しく感じた。
「監視していた側とされていた側とが結局出会わないまま終わる」というこの展開が好きな人は多いと思った。
2年前の時点でドライマンがヴィースラーの存在を車の窓越しに確認してるシーンで、「会えよ」って、わたしは一瞬思ってしまった。
観終えたうえでどこかスッキリしないのは、女優に執心していたハムプフ大臣という悪役がのうのうと生き残っているからだと思う。