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「ハーモニー」の感想
2021/10/20 in Blog
伊藤 計劃 (著)「ハーモニー」を読みました。 おもしろかった。 「ハーモニー」では、「虐殺器官」の後の世界を描いています。 そのため、テーマとして「テロとの戦い」は引き続き存在すると思います。 そして、そこに「病」が加わっている印象を受けました。 「虐殺器官」の巻末の解説によると、著者はガンの治療のために入院し、病室で「ハーモニー」と書き始めたらしい。 きっとその影響はあるのだろう。 文字について。 終盤に語られる御冷ミァハのことばとして、以下のものがあります。 文字は残る。もしかしたら永遠 …
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「イマジネーションの戦争」の感想
2021/10/05 in Blog
「イマジネーションの戦争」を読みました。 もともと「おれはミサイル」を読みたかったのだが、その手段のひとつがこの本というわけ。ただし、分厚い…。 収録作品 桃太郎(芥川龍之介) 鉄砲屋(安部公房) 通いの軍隊(筒井康隆) The Indifference Engine(伊藤計劃) 既知との遭遇(モブノリオ) 烏の北斗七星(宮沢賢治) 春の軍隊(小松左京) おれはミサイル(秋山瑞人) 鼓笛隊の襲来(三崎亜記) スズメバチの戦闘機(青来有一) 煉獄ロック(星野智幸) 白い服の男(星新一) リトルガー …
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「日本SFの臨界点[恋愛篇] 死んだ恋人からの手紙」の感想
2021/10/04 in Blog
伴名 練 (編集)「日本SFの臨界点[恋愛篇] 死んだ恋人からの手紙」を読みました。 本書は、SFと恋愛要素を含む短編集のアンソロジー。全9作品。巻末に、SF入門ガイドも併録。 一部、家族愛をテーマとするものも含む。 もしかしたら、[恋愛篇]と書いてあるものの、同時期に発売された[怪奇篇]に当てはまらないものが収録されているくらいの認識でいいかもしれない。 よい作品が収録されているので、その点で評価が別れてほしくはない、という思いはある。 そんな読後感。 「日本SFの臨界点[怪奇篇] ちまみれ家 …
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「2010年代SF傑作選2」の感想
2021/09/30 in Blog
大森 望 (編集),伴名 練 (編集)「2010年代SF傑作選2」を読みました。 「2010年代SF傑作選」は 全2巻。 2巻目は、新人勢を収録しているとのこと。 収録作品 小川 哲「バック・イン・ザ・デイズ」 宮内悠介「スペース金融道」 三方行成「流れよわが涙、と孔明は言った」 酉島伝法「環刑錮」 高山羽根子「うどん キツネつきの」 柴田勝家「雲南省スー族におけるVR技術の使用例」 藤井太洋「従卒トム」 野崎まど「第五の地平」 倉田タカシ「トーキョーを食べて育った」 小田雅久仁「11階」 あら …
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「2010年代SF傑作選1」の感想
2021/09/29 in Blog
大森 望 (編集),伴名 練 (編集)「2010年代SF傑作選1」を読みました。 「2010年代SF傑作選」は、全2巻。 この1巻目にはベテラン勢を、2巻目には新人勢を収録しているとのこと。 わたしはSF初心者なので、読んだことがある作家さんは長谷敏司さんだけでした。 デビュー作に『戦略拠点32098 楽園』との記載があり、あーそういえば、と思い出せました。 収録一覧 小川一水「アリスマ王の愛した魔物」 上田早夕里「滑車の地」 田中啓文「怪獣惑星キンゴジ」 仁木 稔「ミーチャ・ベリャーエフの子狐 …
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「小説家という職業」の感想
2021/09/22 in Blog
森 博嗣 (著)「小説家という職業」を読みました。 著者自身の小説家になった経緯や、出版業界の現状や問題点と未来について書かれていました。 ちなみに、小説の書き方について書かれた本ではありません。 小説家という職業を、芸術家ではなく職人として、 あくまでビジネスとして著者が認識している様子が印象的でした。 「小説家になりたい」というだけの『夢』を見る人に、本書は『現実』を見せてくれます。 たしかに、「なりたい」ではなく「なって、こうしていきたい」という思いがないと、デビューできても第一作目で燃え …