「わたしを離さないで」の感想

「わたしを離さないで」を読みました。
原題:Never Let Me Go
作者:カズオ・イシグロ
発行:2005年(イギリス)

わたしを離さないで|Amazon

おもしろかったです。
というよりも興味深い作品だった。

小説というより文学であり、やがて古典になる風格がある。
海外の翻訳本だからより一層そう感じるのかもしれない。単に海外かぶれなのかも。
物語の展開も普段見慣れているものとは違って、なかなか予想できなかった。

少年少女の心の揺れ動きに焦点を当てて、淡々と思い出話が進んでいく。
あとがきの解説で「抑制された文体」みたいなことが書いてあったが、本当に的確な表現だと思う。
「提供者」や「保護官」そして「ヘールシャム」などの秘密について、突然その正体が会話の中でさらっと開示される。

直接的な内容というより、読んだ後の心象を無理やりマンガで例えると、
「約束のネバーランド」からファンタジー要素と脱出要素を除いて、
「メイドインアビス」のボンボルドによる少年少女招集から実験・カートリッジ化までの要素を加えて、
舞台を近現代の英国にした感じ。
※「約束のネバーランド」は未読だが、あらすじをうっすら知っている程度

本書を読もうとしたきっかけは、一言でいうとなんとなく。
カズオ・イシグロがノーベル文学賞を取ったのは知っている。
でも読んだことはない。
なら代表作を読んでみようと思い、本書を手に取った。
「日の名残り」や「クララとお日さま」など、作者の他の作品もいつか読んでみたい。
とくに「クララとお日さま」は「ここはすべての夜明けまえ」の際にタイトルを目にしたので読んでおきたい。


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