「ライオンのおやつ」の感想
小川糸(著)「ライオンのおやつ」を読みました。
泣いた。
まあまあ、おもしろかったです。
何をきっかけに、この本を知ったのだろうか。
たしかYouTubeチャンネルの「ほんタメ」だったような気がする。
それとも「王様のブランチ」だったか?
余命宣告された三十三歳女性が、瀬戸内海が見えるホスピス「ライオンの家」で最後のひと時をしあわせに過ごす話。
ハートフル終活もの。
文量はそれほど多くなく、読みやすいと感じる人も多いと思う。
二十代三十代の若い女性向けに作られた物語の主人公、
ストレスフルな都会から海の見える田舎に疎開しがち。
もはやテンプレなのだろう。
本作もそうだし、「52ヘルツのクジラたち」もそうだった。
だから「もうどーせきっと、52ヘルツのクジラたちと同じように、本屋大賞を受賞しているんでしょ?コレ」と思って調べたら、第17回(2020年度)本屋大賞 第2位を受賞したらしい。ちょっと惜しい。
やっぱりテンプレなんだろうな、これ。
と思うと同時に、本屋大賞は二十代三十代の若い女性向けの賞であるという印象が、さらに強まった。知らんけど。
物語の前半は、正直読むのがすごく苦しかった。
心地よい風が吹けば「神さまが歓迎してくれてるんだわ」とか、
湾曲した綺麗な浜辺を見ては「神さまが抱擁してくれてるようだ」とか。
そういう表現を見るたび、くくくるしー、くるしいーよーと思いながら休み休み読み進めた。
そのため、予想以上に読むのに時間がかかってしまった。
物語の後半は、もう慣れた。
きっと神さまにからだが適応したたんだわ。
ちなみに、本書の何かが悪いということではない。
ただただ、二十代三十代の若い女性向けに作られた物語をおじさんが読んでいるという事実に、気恥ずかしさやいたたまれない気持ちや拒否反応が猛烈に出ただけだと思う。
この感想文の一番最初に、泣いた、と書いた。
これは年齢を重ねてから心がけてることに由来している。
それは「なるべく作品を見たらおもしろかったと思えるようにしよう」ということ。そういう心構えで作品を見ようとしている。
年を取ると今まで見てきた作品が多くあるので、新しく見た作品をそれらと比較しがち。
そうすると、変に斜に構えて、楽しめる作品の幅がどんどん小さくなってしまう気がしてる。
減点方式から加点方式へ変えた、といってもニュアンスは近いかもしれない。
おもしろい作品を見たら、おもしろい。
泣かせる作品を見たら、泣く。
それでいいじゃん、と思っている。
だから一番最初に、泣いた、と書いた。
自分への戒めの気持ちもこもっている。
参考リンク
「52ヘルツのクジラたち」の感想スポンサーリンク