「52ヘルツのクジラたち」の感想
町田 そのこ(著)「52ヘルツのクジラたち」を読みました。
2021年本屋大賞・受賞作。
うーん、終わってみればまあまあ。
自分の評価と比べると、世間の評価が意外と高いという印象。
よくタイトルを見かけたので読んでみました。
不幸や辛さのバーゲンセール状態という印象。
本書の半分くらいでかなりお腹いっぱい。食傷気味になる。
主人公たち以外のまともな大人が終盤になってようやく登場してくれるので、そこで物語的にも救われるし、食傷気味の読者としても救われる。
以前テレビ放送していた「痛快TV スカッとジャパン」を小説にしたような印象もある。
本書は、読んでスカッとできる構造になっている。
多くの人は、即席のカタルシスを得られるのだろう。
虐待・離婚・病気(ALS)・事故・介護(ヤングケアラー)・性自認など、これでもかと要素が詰め込まれている。
なので、読者がその要素のどれかひとつでも共感すると、本書の評価が上がるのだと感じた。
それが、私と世間との評価のズレにつながっているのだと思う。
読んでいて、不幸要素がどんどん追加になる度、思わず苦笑い。
「そんなことありえる!?てんこ盛りじゃん。どんな確率よ」と思ってしまった。
「不幸」という名の大きな網を使う底引き網漁船のような小説。言い過ぎか。
ただし、読みやすい。
読みやすさが何に由来するか考えると、
一文の短さ・ふりがな・女性著者らしい擬音語などに由来するのかもしれない。
日本人女性の長編を読むのは、だいぶ久しぶりかも。
「窓ぎわのトットちゃん」以来だろうか。
最近SF作品を読むことが多かったので、それらと比較して、読みやすく感じるのかもしれない。
not for meというだけで、むしろこういうのが売れ線なのかも。
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